理事長所信
Belief

はじめに
1953年、戦後の復興期に北見の明るい未来のために立ち上がった北見青年会議所は2022年に創立70周年の節目を迎えました。70年という年月の間、戦後の復興再建や高度経済成長を遂げ、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックなど様々な苦難においても、先輩諸氏は揺るがない信念を持ち、その時代に求められる、未来を見据えた運動を巻き起こしてきました。
そして今の日本もまた苦難の中にいます。超少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少は経済成長を停滞させています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる混乱は、徐々に日常を取り戻しつつあるものの、私たちの社会に大きな爪痕を残しました。近年の情報技術の発達は人々の生活に利便性をもたらし、接触がはばかられるコロナ禍において働き方や教育環境を始めとする生活様式に変化をもたらしました。一方で、国籍や世代関係なくつながれることから多様化の推進を期待されたオンラインのコミュニケーションは、度々散見される炎上やヘイト発言によって、むしろ社会を分断させています。いまだ私たちの暮らす社会は不完全であり、私たちの住むこの地域も例外ではありません。
この苦難の時代を乗り越え、地域に豊かさをもたらすために行動を起こすのは、今を生きる青年です。しかし、20歳から40歳までの青年が集まる北見青年会議所のメンバー数は減少傾向にあります。減少の原因を社会情勢や経済情勢に求めることは簡単ですが、本当に求められている組織には自然と人は集まるはずです。人が集まらないということは、つまり私たちが時代の要求に追い付けていないということでもあります。創立70周年の節目を超え新たなスタートとなる本年、時代の要求に応えるべく組織を進化させる必要があります。組織を進化させることが未来を見据えた運動へとつながり地域に豊かさをもたらすのです。
メンバーにとって、青年会議所は多くの仲間と共に自分自身を成長させ、その成果を地域に伝播し、明るい豊かな社会へと導く運動を起こす機会を与えてくれる組織です。しかし、ただ所属しているだけではこの機会を掴むことはできません。限られた時間を漫然と過ごすのか、それとも常に学ぶ姿勢でアンテナを張り、積極的に挑戦するのか。どんな活動でも何かに活かせる要素はあります。その機会を活かせるかどうかを選択しているのは常に自分自身です。私は理事長という成長の機会を与えていただいたことに感謝し、この職務に全力を尽くします。仲間として共に活動するメンバーも、自分自身の可能性を信じて共に挑戦しよう。
組織を次代へつなぐための会員拡大
私たちの運動を実りあるものにするためには会員拡大が必要不可欠です。会員拡大の実現がなければ、私たちのように地域の未来を考えて行動する人が減少します。そして組織が弱体化し、運動を展開していくことが難しくなります。メンバー一人ひとりが会員拡大の目的を理解し組織全体で意識を高めることが、持続的な会員拡大へとつながります。私たちは地域への想いを共にし、行動する仲間を一人でも多く迎え入れ続けることが必要です。
また、会員拡大を行うにあたり、メンバー一人ひとりが地域のリーダーとして自覚を持った立ち振る舞いから個の魅力を発信し、青年会議所の広告塔となり、地域に必要とされる団体としての存在感を示していくべきです。
今、北見青年会議所のメンバー数は減少傾向にあります。会員拡大運動を成功させることは、組織の維持・発展につながり明るい豊かな地域の創造につながると確信しています。
地域の未来を創る人財育成
私たちは地域をけん引するリーダーとして運動を展開してきました。さらなる高見を目指すため、組織の未来を担う人財を育成しなければなりません。入会1年目のメンバーには、先輩諸氏が紡いでこられた歴史と伝統を学ぶとともに、時を同じくして入会したメンバーと共に青年会議所運動に積極的に取り組んでいただきたい。たとえ入会した動機が違えども、目的を共有し切磋琢磨することで一生の仲間となり、仲間とのかけがえのない絆は組織をさらに強くします。
生活の変化の激しい時代、青少年を取り巻く環境も激しく変化しています。その変化の速度は10年先の未来がどうなっているのかも予想できないほどに速いですが、確実に言えることは未来の地域を創るのは今その地域で暮らす青少年であるということです。未来を担う青少年は私たち責任世代が創り上げた土台をもとに成長していきます。青少年が活躍するための土台を創り、活躍できる人財へと育成することが私たちの責務です。未来に求められる技術や知識を教えることはできませんが、目まぐるしい変化の時代でも変わらない、自分で考え決断できる自立心や、他者を思いやる心を養うための機会を青少年に提供し、いつの時代にも求められる人財へと育成します。
周囲を巻き込む地域開発
地域を活性化させるためには、地域づくりに積極的な地域住民を生み出すことが求められます。地域住民の愛郷心を育んできた北見ぼんちまつりや、市民会議から生まれ、多くの地域住民を巻き込み開催してきた北見ハーフマラソン大会といった事業は、今まで多くの地域住民を地域づくりへと向かわせてきました。近年は、悪天候や新型コロナウイルス感染症の影響から、事業が中止になってしまうこともありました。しかしながら、コロナ禍でも開催可能な方法はないかと頭をひねり、規模は縮小となっても新たなかたちで開催にこぎつけるなど、地域づくりへの灯を絶やさぬよう私たちは活動してきました。今後も、持続可能な地域住民の関わり方と新たなかたちでの開催を模索し、地域にインパクトを与えられる事業を実施します。そして、その影響力からより多くの地域住民に当事者としての自覚を促す好循環を生み出します。
地域に求められる組織づくり
青年会議所運動は私たちだけで完結できるものではありません。先輩諸氏や多くの関係諸団体の協力のもと成り立っています。私たちは関わる全ての人たちに常に感謝の気持ちを忘れずに互いの情報共有から協力関係を維持し続ける必要があります。
また、私たちの運動はどれだけ地域住民に届いているのでしょうか。人々は日々処理できないほどの膨大な情報の中から取捨選択を行い、情報を取得しています。様々な手法やコミュニケーションツールが存在する今、届けたい相手に確実に情報を届けるためには戦略的に情報発信をしなければ、膨大な情報の中に私たちの情報が埋もれてしまいます。どんなに地域のために良い活動をしても、その内容が地域住民に伝わらなければ単なる自己満足に過ぎません。私たちの存在価値は地域住民が決めるのです。私たちの存在価値を高めるための戦略的な広報活動を展開します。
出向で学びを得る
青年会議所には出向の機会があります。日本青年会議所、および日本青年会議所北海道地区協議会など、多くの場が用意されています。出向では、他の青年会議所のメンバーと共に事業や組織運営に臨むことで、北見だけでは得ることのできない経験を積み、自分の視野を広げることができます。そして、広い視野で地域課題に取り組む力を養うことは、人的ネットワークの構築と個の能力の向上につながり、その経験を北見に持ち帰ることで、より力強い青年会議所運動となるのです。
持続可能な組織運営
健全な組織運営には明確なルールとその遵守が求められます。暗黙の了解や不文律といわれる不明確なルールは、多様な人財が集まり多様な価値観が存在する組織においては、混乱の原因となります。また、明確なルールであってもその遵守が時代の変化により難しくなることもあります。私たちにも70年の歴史で先輩諸氏より受け継いできた様々なルールがありますが、この時代にそぐわないルールも散見されます。ルールが運動に制限をかけるようでは本末転倒です。不明確なルールは明確化する必要があり、時代にそぐわないルールであれば変えることが必要です。古き良きルールを受け継ぎ、新しいルールと融合させることでさらに円滑な組織運営につなげ活動していく必要があると考えます。
また、公益法人格を取得してから10年が経ちました。公益社団法人として、健全な財政、財務を務め、コンプライアンスを遵守し規律ある組織運営を行ってきましたが、時代に合った私たちの活動や運動に適した法人格として求められているのかどうか、今一度検証し持続可能な組織へと導きます。
結びに
青年会議所は失敗してもいい団体といわれます。失敗をとがめられる世の中にあっては稀有な団体です。明るい豊かな社会の実現のためには失敗を恐れない挑戦が求められます。地域のリーダーたる私たちは高みを掲げることで皆を率いることができるのです。たとえ失敗したとしても目標に向かって仲間とともに挑戦した経験は個の成長の糧となり、組織に発展をもたらします。
常識破りでも構いません。
志を高く持ち挑戦しよう。
- 基本方針
- Basic policy
地域に豊かさをもたらすために
志高く、挑戦しよう
- 未来を担う人材育成
- 誇れる地域の創造
- 持続可能な組織の確立